さよならいいこ

私は私だもの

スポンサーリンク

「駅員に怒鳴りつけるサラリーマンの気持ちがわからない」と言う母

父親の東京転勤についてきたという母親と久々に食事に行ったときの話です。

東京の電車は(本数とか満員電車とか人身事故率とか)やばいという話題に花が咲きました。

そこで母親は言うのです。

 

「最近は駅員さんに怒鳴りつける人なんているのね。しかも結構多くて、びっくりしちゃった。駅員さんもかわいそうに。電車が遅れたからってあんなに怒らなくもいいのに。しかも不思議とね、スーツを着たサラリーマンが多いのよ。変な人とかならまだわかるけど、きちんとお仕事されてるちゃんとした方なのに、どうしてあんな小さなことでキレるのかしら。ひどいと思う!」

 

彼女は本当に理解できないと言うような表情をしていたけれど、大嫌いな会社で2年働いていた私には少し、サラリーマンの気持ちがわかるような気がしました。

しょっちゅう憤っていた、かつての会社の人たちが脳裏によぎりました。

 

定時より最低でも30分前には出社し、一日中顧客や上司の理不尽を浴び、時間に追われながら残業をして過ごす日々。

貴重な勤務時間外は「付き合い」と名づけて仲間外れにされないよう必死に上司の企画した飲み会とゴルフに参加し、睡眠時間が足りない中つねに完璧を求められる毎日。

完璧にこなすことは当たり前であり、できないと瞬時にけなされ、できたところで評価されることはない。

加えてさらに、東京のサラリーマンには云時間とかかる通勤時間と満員電車の苦痛がついてくるのでしょう。

それすらも「慣れ」という麻痺でごまかして、体に疲労を溜めているのでしょう。

f:id:sakenominimal:20170125132820j:plain

 

睡眠が足りなくなって、少しずつ判断力の欠けていった頭で、自分はどんな苦境にあっても言い訳をせず完璧にこなしている(と本人は自負している)のに、気候やら人身事故やらと(本人にとっては最早)いい加減な理由であっさり止まって自分のスケジュールを潰しにかかってくる電車が許せないのでしょう。

きっと駅員に怒鳴り散らした陰で、「電車の遅刻など会議の遅刻の理由にはならない」と、そう上の人に怒鳴り散らされているのではないかなと思います。

 

社会には理不尽が多いのです。

耐えるという形で片付けるには、あまりにも多すぎるのです。

 

一方、生まれてこの方愛知から一歩も出たことがなかった母、50歳。

若い頃は地元優良企業に非正規雇用の事務員として入社、うまいこと正社員の父をつかまえて結婚。

マイホーム・子育てとあの世代にありがちな形式的な夢を叶えて気づいたら年を取っていた。 

こんな人生を送っていればしかたがないと言えばそうなのだけれども、呆れるほどに世間を知らないのです。

そしてそれは母だけではないし、 きっとそういう主婦は多いのです。

 

「みんながみんな、パパみたいに良い会社に恵まれてるわけじゃないんだよ。」

 

私は先のことを説明した上でそう締めくくったけれど、彼女はやはりキョトンとした顔をしていたし、きっと一生理解できないのでしょう。

そして社会はこうした主婦たちの悩みを「恵まれているくせに」と一蹴し、主婦たちは怒鳴るサラリーマンを「ただのひどい人」とみなして一蹴するのでしょう。