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さよならいいこ

私は私だもの

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とあるコミュ障引きこもりニートの生き方

旅・人・故郷

はじめに

うちのシェアハウスに大学中退ニートがいます。地元の大学に入ったは良いものの、友達ができなくて毎日便所飯してたらしいです(話が逸れるけどコミュ障が軒並みみんなトイレでご飯を食べ出す気持ちって私にはいつも理解できません。わざわざトイレ行かなくても、エントランスとかベンチとかいろいろあるじゃない。トイレで食事って気持ち悪くならないんですかね?)。

 

今回はそんな彼の生き方物語。本人はいかにも引きニートみたいな覇気のない性格してるので「これが俺の生き方だー!」なんて暑苦しいことまったく思ってなさそうですけどね。

 

上京とボードゲームと彼

二年前大学で便所飯している自分を変えたいと思ったらしく、一念発起して上京してきたそうな。そこでたまたま安いシェアハウスに住んだと。芯がなく流されやすく、何を話しても愛想笑いと「すみません」しか言わない、上京した勇気が信じられないぐらいには本当に覇気のない人です。当初も東京に来たはものの、とくに何をする様子もないというか、そもそもシェアハウスからあんまり出なかったとか。

 

そんな彼でも「人と話せるようになりたい」というささやかな願いがあったらしく、それを受けた同居人が彼とシェアハウスでボードゲームイベントを開始(当時、ボドゲなんて全然興味ないのにどんどん家に人が増えていくから私としては本当に邪魔だったw)。毎日毎晩、参加費ひとり500円。初めは人もそんなに来ないじゃないですか。それなのに、好きでもないのに毎日そんな安い給料(?)でボードゲームって普通なかなかできないですよ。しかも初めはもらった500円、全部新しいボードゲーム代になってましたし(重ねて言いますが本人はボードゲームオタクではない)。東京で適当にバイトしたら時給900円ですからね。そっちの方が短時間でそこそこ稼げて楽です。そういう器用さのない、芯がなく流されやすいコミュ障の彼だからこそ成せる技というか。

 

カタン スタンダード版

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しかしニート気質は治らなかった

ボードゲームをやっていくうちに次第にお客さんも増え、徐々にコミュ障を克服していった彼。上京当初の吃りもなくなりました。でもいまだに人混みを歩くのは怖いらしいです。しかしそれにしても、彼はずいぶんと立派に毎日を暮らすようになりました。

 

ところがボードゲームや自分の功績に対して、承認欲求とかポリシーとかまったく沸かなかったようです。というのも、事件が起こったのです。

近頃好調だった彼に希望を持って欲張った同居人が、大学休学中の彼に「東京の大学に入って学歴をつけるように」とけしかけたのです。本人はどうも、漠然とボードゲームに流されることで問題を先送りにしていた節があったようですが、ここでドカンと問題にぶち当たったわけです。

 

「まだ若いんだし、どうせなら良い大学を目指そう。勉強しよう。専念するためにゲーム会は辞めよう。」

 

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 話はあれよあれよと言う間に進んで行きました。当の本人はそれに対してとくに賛成も反対もせず、流されるままにゲーム会を辞めて行きました。しかしだからと言ってとくに勉強する様子もありません。……まあだって、苦労して大学行ったってどうせまたきっと便所飯というか。そんなわけで結局勉強せず受験計画は頓挫し、だからと言ってポリシーもないのにわざわざゲーム会に戻ることもなく、本当に何もせずシェアハウス内をうろうろと徘徊するニートになってしまいました。

 

なんやかんや人望があった彼

思えば彼のゲーム会での人望というのは目を見張るものがありました。パッとしない人だけれども、誰のことも嫌わず平等に接していたのです。いじりやすく親しみやすく、人の厚意は素直に受け取っていました。ゲーム会は何人かで毎日回していたけれど、彼が担当する日が一番人気でした。彼が謎の大学受験で引退して以来、めっきり人が少なくなってしまったのです。私も毎晩毎晩大量のお客さんが家に押し寄せた頃はうざかったけれど、この頃の家全体の意気消沈ぶりというのはさすがに見ていられないものがありました。

 

そんなわけで私も見かねて、彼に戻るように言ったのです。たぶん私だけではなく何人か言ったと思います。そして流されやすい彼はやはり戻りました。クラゲのように静かにスゥーッと戻り、またゲーム会も活気づいて、今では「あのお別れ会はなんだったんだ。」とお客さんに笑ってネタにされています。

 

やりたいことがしたいけど

何もせず漂っていたあの間、彼なりに「自分には探せばもっとやりたいことがどこかにあるのではないか。」というモラトリアムがあったようです。けれど、だからと言って見つかるまで何もしないというのは違うと思います。「やりたいこと」を探すなら、片っ端から何かに取り組んで走るだけのタフさがいるのです。ニート気質な彼にはそれが感じられなかったし、親からも愛想を尽かされそろそろ仕送りも切れようという状態だったので、誰が見ても余計にそんな場合ではないように思いました。

 

できることをして喜ばれて嫌じゃなければそれで良い

今思えば彼には少し、私の意見を押し付けてしまったところもあるかもしれません。大学行けない、就職できない、バイトもできない、何がしたいわけでもない、だったらあなたは何ができるの、と。彼には幸い、ゲーム会という求めてもらえる場所があったのです。そういう幸運を見逃してはならないと、私は思ったのです。

 

ゲーム会も家全体もいつしかまた活気づいて、気がつけば春にお店を出すなんて、クラウドファンディングまで行われていました。ただの流されやすいニートなのにすごく爽やかで勢いありそうな雰囲気で笑ってしまいました。

 

camp-fire.jp

 

プロジェクト本文も実に彼らしいです。でも私、知っているのですよ。彼にはこんな風に自分を表現する文章力すらないことを。文章は、彼をよく知るもっと頭のキレるシェアハウスの子が書いたのですよね。彼ひとりでここまで来たわけじゃないけれど、みんなが力を貸してくれるのが彼の実力。

 

良い笑顔しちゃって、写真家がよほど上手かったのね。……なんてね。

おめでとう。5000円で一年間卵かけご飯食べ放題とのことで、出資しておきました。我々貧民には欠かせない貴重な料理ですよね。彼も毎日食べてるのをよく見かけます。私はボードゲームには興味ありませんが、最悪何かあっても食いっぱぐれないセーフティーネットTKG、素敵だと思います。

 

おわりに

ここまで長文にお付き合いくださった方、ありがとうございました。身近な人が前に進んでいく様子というのはすごく感慨深く、何か自分にもできることはないかなと思ったときに、やっぱりとりあえずブログに書きたくなったのですよね。よければクラウドファンディングの内容を見てほしいし、出資とか協力してくれたら嬉しいです。開店の暁には、ボードゲーマーも引きニートもなんとなく彼が気になる方も、あるいはこの文章を書いている私に会いたいという奇特な方も、もしいらっしゃればぜひ遊びに来て下さいね。